▲戻る

2014 07/14 【第48回 50代ライダーのバイクライフについて思うこと PART2】



[ 「こんなもんですよ」と云われたその瞬間から始まる理不尽なバイクライフ ]


今回は最近エンジンコンディションを整えた、スクランブラーのIさんのお話をします。

初めて当店に来られたIさんは、バイクに乗るのは30年ぶりの同年代50代半ばのかた。

ご本人を取巻く、バイクに乗れない制約がなくなった今、以前より気になっていたトライアンフ・スクランブラーの中古車を購入されたとのこと。

購入の喜びもつかの間、乗ってみる度に「なんか変だ・・・」と納車後ずっと思われていたそうです。

そして購入店へ相談しても「こんなもんです!」の一点張りで、楽しいはずのバイクによって、悩みを抱える事になりました。

症状について、いろいろお話しするより、これならスクランブラーは、楽しいと解っていただくために、僕が普段乗るスクランブラーに試乗してもらうことにしました。

「ぜんぜん違う。スムーズですごく乗りやすい。そのうち是非エンジンコンディションを整えたいです」とおっしゃって帰られました。

そして数日後連絡があり作業実施のために車両を預かりに伺いました。

店に帰ってから、いつものように、症状を確認するために、数キロ試乗してみました。

エンジンを始動すると、異様にアイドリングが高く、走り出すと低速域では力が無く、アクセルをあけるたびに、おおきくギクシャクする乗り難さ。

何もしていない新車でも同じような症状の車両があることは、経験済みでしたが、この車両の場合は更にひどい症状。

しかも気になっていたアイドリングを正規に下げると、エンジンが止まるではないですか。

これで「こんなもの!」とは・・・。バイクの場合4輪車とは違って、バランスをとって乗る乗り物ですから、不意のエンストは、とても危険だと思います。

バイクに乗らないバイク屋だから「こんなもの」と、言い切ることが出来るとは思いますが・・・・・。


[ NWJCに持込み作業 ]





そして恒例のNWJCに車両を持込んでのエンジンコンディションを整える作業を行いました。

するとエンジンチェックで吸・排気のバルブクリアランスを測定しましたが、一つだけが、許容範囲限界の最大値。他は基準値から大きく外れ許容範囲の限界を超えていました。

(1/100mmの違いを体感して頂く為にデータシートをお渡ししています。)


そして、各部をチェックした後に、NWJCの拘りのメンテナンスが始まり、コンディションを整えられたエンジンは、僕の耳になじんだリズムを刻みながら、安定したアイドリングをはじめました。

NWJC周辺を試乗してみると、アクセルの開閉に連動してスムーズに反応するエンジンは、メンテナンス以前の症状はまったく消えて、

走行中は、車体が軽く感じられて、乗りやすく、安定した走りは、いわゆるスタンダードコンディションという状態を手にすることが出来ました。

僕にとっては、エンジンコンディションを整えた後に、いつも感じる乗りやすさです。毎回これに嬉しくなるのです。

でも実は、これがスタンダード・スクランブラー本来の姿なんです。

翌日、納車して、お宅の前でエンジンをかけると、「この感じ、前と全く違いますね。やっぱりこうですよね」とIさん。

奥さんもお宅から出てこられて「ぜんぜん音が違うね」と、はっきりと違いを実感されていました。

僕が作った資料片手に説明し、まずエンジン不調の具体的な症状と原因をあらためてお話しすると、「購入店で、いろいろ相談したのですが・・・いつも、そんなもんですよ、と言われ、とりあってもらえなかったんですよ」

そして、信じられないような話も飛び出して、Iさんは今まで抱えていた不満を語られました。

納得いかないIさんは、インターネット等で調べていくうちに、NWJCさんからRBRへとつながり、今回ご来店いただくことになった、とのことでした。


[ 乗りたくなる車両に変貌 ]


後日電話で、その後の調子を訊ねてみると

「ああ、こういうふうになるんですね、すごく良いです。調子いいので楽しくて300kmほど走りましたよ。低中速ですごく乗りやすく、高回転のパワーもすごく出ていてびっくりです。」

全域でスムーズに、扱いやすくなったスクランブラーを楽しんでいただいている様子です。

こうやって愛着を持てる1台が誕生し、さらに気持ち良く楽しむ為の提案や、ご要望を聞きながら、 Iさんとの楽しいお付き合いが始まりました。


[ 50代ライダー、同年代のよくある会話 ]


「また乗りたい!あちこち出かけたいなー」

「家族の許可がでて、やっと乗れるようになった。限定解除に教習所に行ってます。」

「いろいろ、何に乗ろうか悩んでるんですよ」

「あこがれのOO買った!納車が楽しみや!」

同年代の方は皆さん楽しそうに話されますが、一方購入後、

「買ったけど、なんかおかしいと思うんだよなー、でも、こんなもんだって言うんだよ」

「こんなもんだって言われたけど、それでも乗りにくいって言ったら、お前の乗り方が悪いとか下手とか言われちゃって・・・」

「大きいバイク買ったけど、街中でギクシャクして乗り難くて・・・みんなが言うように大排気量は極低速は苦手なんかな。それに案外すぐエンストするんやね。高速道路しか楽しくないなんて、車のほうがマシやわ。」

こんな話をよく耳にしますが、せっかく手にしたバイクを乗れたというのに、楽しむハズが、ストレスや悩みのタネ苦痛に逆転・・・こんな気持ちになりたくないですよね。

しかし原因の大部分は、車両のコンディションの悪さが引き起こしているストレスや悩みです。

NWJCの高田社長がよく言われることがあります。

「コンディションの整っていない調子の悪いバイクを無理やり動かすのに、上手いも、下手もない。また、俺は、ヘボライダーだから調子の悪いバイクをライテクでカバーして上手に、気持ち良く乗れるとは思っていない。」

僕もこのことは、NWJCのコンディションの整った車両に乗って実感するまでは、乗り難い車両はライテクなんかでカバーして頑張るのか・・・・と、解らなかったでしょう。


[ RBRとしての拘り ]




バイク屋ですので様々な作業を行いますが、コンディションを整える場合、こだわり続けてきた歴史を持つNWJCの熟練したメカニックの最終チェックが必要となります。

エンジンコンディションを整える作業は、NWJCまで出かけて行うのが、楽しめる車両を提供するRBRとしての拘りです。

持込を始めてから数年経ちますが、作業時間や作業の精密さについて、今でも気付かされる点が数多くあります。

ユーザーの皆さんに、僕と同じ乗る喜びを感じてもらうために、熟練したメンテナンスの精度の高さと、誠実な対応(説明やアドバイスなど)をとても大切にしていますので、NWJCに持込むことが、拘りであると、ご理解いただけると思います。
できないことをできると言ったり、できていないのにできたと勘違いしている事は、とても不幸な事だと、僕は考えています。

時々、「OOというお店でエンジン調整をしてもらったのですが、症状が治りません」と言う方がこられて、こちらでチェックすると、一応手は加えてあるけれども、不完全な事がよくあります。

NWJCのメカニックの明さんに聞くと、そんな事は頻繁にあるそうで、ひどい場合は、手を付けない方が良かったと思える程に、悪化しているのもあるそうです。

バイクに乗り始める、或いは乗り続けている、という楽しみを有意義に過ごしてもらうために、50代同世代として、僕と同じようにバイクライフを楽しんでもらうために、バイク屋RBRとして協力できたらと思います。

同じバイク乗りとして、共により良いバイクライフを楽しみましょう。

次回に続きます。
前回の記事もご覧下さい。下の文字をクリック!
[ 50代のバイクライフについて思うこと ]




▲戻る △ページの先頭へ