▲戻る

2015 6/16【第63回 スクランブラーで大山へ 】




当日は梅雨の合間の爽やかな好天に恵まれて、愛車スクランブラーに乗って久々の西へ、
鳥取の大山まで出かけようと思いました。

長距離も久しぶりで、スタートしてからいつものように心地良いペースで進みます。
愛車との一体感を感じながらの充実した時間は、僕にとって一番楽しく大切なひとときです。

このスクランブラーとは随分長い付き合いです。
今まで走り続けてきてスペックだけでは得られない大切な事を教えてもらいました。

スクランブラーを楽しみながら、いろんな思いが頭の中をめぐります。
同時に昔の苦い経験を思い出します。


[ 自らのバイクライフを振り返る ]


SRに乗っていた頃、ノスタルジックなデザインとシングルエンジンが気に入っていましたが
走るとその非力さはいかんともしがたく、スペック重視の当時の風潮を信じ込んでいた僕は、
アフターマーケットの部品交換のみで解決できると思っていました。

ボアアップ、キャブレター交換、サスペンション等々・・・山ほどの改造と部品を装着。
しかし、もともと柔らかなフレームと細いフロントフォークで出来たSRは、アフターマーケットの
パーツを組み込むほどに、バランスは崩れていき、恐ろしく乗りにくいものになってしまいました。

やる事が無くなったSRは、普段乗るのも億劫になるようなSRにしてしまって、そこで乗らなくなり
お役御免とした苦い経験があります。
今思うと、ノーマルのSRをメンテナンスで仕上げるのがベストです。

その後、暫らくのあいだですがBMW R1100GSに乗り、イベントレースにも参加したりして楽しみ
ました。ツーリングで、走り始めるとペースを上げて走るのは楽しいのですが、ペースダウンして流れに
乗る事は苦痛に思えることがあり、パワーなどスペックには不満は無かったのですが、ツーリングで
走り続けるとストレスを感じることもあり、ツーリングで楽しむには何故か違和感を覚えて結局乗らなく
なりました。


[ スクランブラーによるライダーとしてのスキルアップ ]


そしてトライアンフ・スクランブラーと出会います。
ブランドへの憧れもありましたし、なにより見た目と900と言う排気量が気に入って手にしました。

SRの倍以上の排気量による動力性能は充分で、手にした当初はお気に入りでしたが、乗り続けて
いるうちに、何ともいえない違和感が在りました。しかし、その違和感に対する対処はSRの時とは
違う方法で対策出来たことが、スクランブラーへの愛着となりました。

それは、トライアンフ発売当初よりツーリングライダーとして乗り続けて、違和感や問題点を拘りの
メンテナンスによって改善して、深化させ続けてきたNWJCさんに相談できた事です。僕のスクラ
ンブラーに対する違和感は、僕と同じツーリングライダーとしてすでにお見通しでした。

そして直接お店に持込んで、段階を踏んでメンテナンスにより深化することになりました。
すると、メンテナンスをするたびに違和感が消えて行き、現在のNWJC2014仕様へと深化する
過程で、僕とスクランブラーに一体感が生まれて、ずっと走り続けていたいバイクとなりました。

スクランブラーはバイクという「商品」から、一生付き合える「道具」へ深化したのです。
頻繁にあちこちでかけて、ストリートからツーリングまで楽しめるのもこの背景があるからです。

SRでやったような部品交換や取り付けではなく、違和感の対処にはメンテナンスとNWJCオリジナル
パーツがピンポイントで準備されていて、トータルバランスを最大限に高めたこんなに良いバイクにできる
なんて。当時の僕を連れてきてみせてやりたい気持ちになります。

この僕の失敗談、スペック重視の風潮が招いた部品交換ブームのさなかにいた同世代の方で、ご理解
いただける方も多いと思います。

このスペック重視は今もバイク選びの中心ですが、昨今では内容が変わりライディングを補助する
電子制御装置がちょっとしたブームですね。

目にするたびに「へー、すごいなあ〜」感心する一方、乗るのが安易になることで、ライダーがスキルアップ
したかのような勘違いをしないか心配になるところもあります。
僕ならきっと勘違いして「俺は上手い!」です(笑)

僕のスクランブラーはそんな装置とは無縁の車両ですから、ライディングを補助して危険な領域へ踏み込む
こともありません。使い慣れていくにつれ、ライダーの僕も一緒にスキルアップしてきました。
仕上がって行くバイクに僕が育てられて、たわけですね。

バイクとの一体感を実感しながら、安全に楽しく乗れるようになりました。

電子制御を多用する今の車両開発の流れは、50代ライダーの死亡事故が大きく報道される昨今、
どのように理解すれば・・・・・・。

フル電子制御のいわば「デジタル」バイクも興味がありますが、趣味としてバイクを楽しんでいると、
僕はそういったものが少ない、より「アナログ」に近い、スクランブラーのような車両も捨てがたい
魅力があるように思います。

メンテナンスにより一体感が生まれて使い慣れると、特に愛着ある1台となり、乗るたび「やっぱり
これがいいなー」と思います。

スペックより、NWJCさんのように、走りこんで車両を熟知した上で拘りのメンテナンスで仕上げる事
が大切だと解ってからは「アナログ」のほうがむしろ、安全で楽しいことを知ってしまったのです。


[ スペックや装備だけではバイクは楽しめない ]


このことを考えていると、先日NWJCの高田社長がカブ110NWJCコンプリートをツアラーとして
仕上げた、カブ110Expressで自ら日本列島縦断された記事を思い出しました。
車両は「アナログ」の元祖カブです。

カブには以前から着手されているのを知っていて、2013年7月にプロトタイプをお借りし敦賀まで
ツーリングした際にその性能に驚いたのを良く覚えています。(当サイトNWJC SPECIALに掲載)
日本列島縦断の記事で目を見張ったのは平均速度でした。あれだけ荷物を積んでなんと平均48km/h!
そのとき思ったのは、荷物をフル積載状態ですから、普通のカブでは絶対無理。
いかにコダワリを持って、仕上げられたかがとてもよく判ります。

僕のスクランブラーにもガーミンを装着していて、今回の大山ツーリングは平均速度51km/h。
ゆっくりではなくて、スポーツライクに楽しんでのペースだったのですが、たった3km/hしか変わらない。
今更ながらカブ110Expressにビックリ。


出かけるたびに平均速度をみて参考にしていますが、結構良いペースの自覚があって、大体50km/h前後です。
と、言うことはほとんど同じ!

しかも記事を読むとあちこちに寄られて、おなじみの田んぼとトラクターを満喫してツーリングを楽しんで
おられて、それにも驚いています。


NWJC高田社長の記事はこちら↓

カブ110NWJCコンプリートで日本列島縦断 カブ110EXPRESS仕様編

僕がカブ110NWJCコンプリート、プロトタイプでツーリングを楽しんだ記事はこちら↓

カブ110NWJC日本海ツーリング、一バイク乗りとして再発見の旅

高速道路を多用する味気ないツーリングの場合は別ですが、同じ状況ではスペックや装備など、車両による
差はほとんどありません。勿論、走るルートも大切です。

使い慣れた愛着あるバイクで走ることが如何に楽しいか、僕は実体験によってよく解っています。
これからもバイク屋として、走り続けてバイクを楽しむライダーの目線から、RBRに訪れる皆さんに愛着を
持てる一台を楽しむ為の提案が出来ればと思っています。

大山をぐるっと周って様々な風景と道に出会い充実感溢れる一日でした。


僕とスクランブラーとの付き合いはまだまだ続きます。








[ スクランブラーT・Mさんとショートツーリング ]



T・Mさんのスクランブラーは、NWJC2014仕様に仕上げる過程にあるですが
先日、NWJCさんに持込んでNWJC2014仕様のステージ2のファインチューニングを行いました。
納車してすぐご近所を乗られたところ、次のようなインプレッションを話されました。



[ スクランブラーとの一体感を実感 ]


「今まで上手く曲がれないのが悩みでした。
外に膨らんだり、内側に切れ込んだり、ふらふら落ち着かなくて、ずっとハンドルを握ってないと
いけないので疲れるのも早かったのです。
以前は乳深さんや、すでに同じチューニング済みのT・HさんM・Hさんの後ろを走ったときになんで
あんなに安定して曲がれるのかわからなかったんです。
今は楽に曲がれて、加速・減速の時も車体が安定しているのに驚きました。」

良きお父さんとして子育てと仕事に追われるT・Mさんとは、一緒に出かける機会が減りつつありましたが、
平日にお休みができたとのことで誘っていただき、ファインチューニング後初めてのツーリングに2人で
でかけました。

ご希望により走り慣れたルートで、走行ラインをトレースしてもらうようにしてスタート。
T・Mさんの変貌ぶりは前を走る僕にすぐわかりました。

程よい車間でピッタリついてくるT・Mさん、100km程をノンストップで走ったころ、休憩するかたずねると、
「え?もっと走りましょう、これからでしょう!」

お昼の場所まで一気に130km走りきってしまいました。


[ 深化したスクランブラーの満足感と充実感 ]


川原で昼食をとりながら、次のように話されました。

「ラインをトレースして走ってみて、同じようなペースで走れて曲がれるって思いました。
曲がっている最中に現れるギャップが苦手でしたが、何事も無かったようにスッとやり過ごせることも
ビックリでした。以前はついて走るのがしんどかったのですが、今は同じように走れて楽しいです。体も
すごく楽でもっと乗り続けたいですね!」

最初に来店いただいてから3年、段階を踏んでNWJCさんにて深化をさせてきました。
T・Mさんの喜びの声を聞くたびに、愛着を持てる一台へと深化させて、スクランブラーをより楽しむ為の
提案が出来て本当に良かったと思います。





次回に続きます。



▲戻る △ページの先頭へ