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2021 10/07【 CB400SS―NWJCツーリングマスター 試乗記 】
※(以下文中CB400SSーNWJCツーリングマスターはCB400SSーTMとさせていただきます。)
[ なにやら怪しい雰囲気を察知する ]
緊急事態宣言が解除となり、NWJCさんに伺うことをお伝えすると今度の土日は留守にすると、
何かが知らないうちに進んでいるようで高田さんはいつになく楽しそうな・・。
そんな雰囲気が漂っている。
「何かある・・・・・」(笑)
なんと緊急事態宣言解除に合わせてキャンプツーリングの話が進んでいて、
そこで、「なんで僕を誘わんのですか・・・・・!?(笑)」と高田さんに訴えると、
「おいおい、来るのか〜(笑)」と高田さん。
どうしても参加したかったので、参加しますからよろしくお願いしますと伝えると、
高田さんに「かまわんよ(笑)」と言っていただきました。
お仲間の皆さんも快く受け入れて下さり・・・・強引ですいません。
こうして僕は大阪コロナ騒動以来、久しぶりのキャンプツーリングに行けることになりました。
朝8時の出発に合わせて久々にNWJC2014仕様空冷スクランブラーで一気に岐阜へ、
それから、素晴らしく楽しい時間を過ごすことができました。
この模様は後日詳しくお話しするとしまして、
今回はNWJCさんのCB400SS―TMのお話をしたいと思います。
土日で岐阜へ行く目的はCB400SS−TMを乗る事でしたが、キャンプの予定と重なりキャンプに
参加してからCB400SSに乗る予定です。誰かと同じ欲張りでスミマセン。
NWJCさんのサイトでとても気になっていたアツシさんのCB400SS―TMもご一緒できること
になり、フル積載での軽やかで安定した走りを目の当たりにして、アツシさんから生の声をお聞きする
と、欲しい・・・!とまで思うようになってしまい(笑)・・・・強欲でスミマセン。
そしてキャンプツーリングからNWJCさんに戻ってから待望のCB400SS−TM仕様を試乗させ
てもらいました。
[ そもそもCB400SSって ]
僕がSRのカスタム屋だった頃は、GB400/500にしても、その後出てきたCL400やCB4
00SSも特に関心もなく、目の前にあっても「ふ〜ん」という感じでした。
4バルブでシングルだけどエキパイ2本、エンデューロマシンであるXR400系のエンジンを積み、
ロードバイクにしては、性能云々より見た目だけで奇妙にとらえていました。
SRの対抗馬として出てきたバイクだという認識はありましたが、発売されても特に関心もなく、しば
らくするといつの間にか消えていた不思議なバイクで、正直に言うとNWJCの高田さんが手がけなけ
れば、一生存在すら忘れていたと思います。
しかし、今回試乗したNWJCさんのバイク旅のノウハウと拘りのメンテナンスで仕上げられた、CB
400SS―TMの素晴らしい乗り味は、僕のイメージするCB400SSを完全に覆し、素晴らしい
バイクであることを改めて知る事が出来ました。
[ CB400SSーTM試乗記 ]
お店の前で押し引きしていると思ったよりとてもコンパクトで軽いことに驚き、
跨った瞬間、引き締まった足回りと、ハンドルとシートとステップの位置関係が抜群で「NWJCさん
ならでは」をすぐに感じることができます。
エンジンをかけるとセル一発、アクセルを開けなくてもシングルらしい歯切れのよい音ですぐに安定し
たアイドリングを始めました。歯切れのよい排気音がはっきり聞こえます。
何か違う・・・もっと静かに回るのかと思ったのですが、いかにもシングルエンジンで
「これ4バルブのシングルエンジンだよな・・・何かが違う・・・」
さてスタートです。クラッチをつなぐと、僕のよく知っている同じ400ccシングルエンジンのSR
とは別次元の走りを体感することになりました。
低速では予想外のシングルらしい鼓動感と、とてもトルクフルなのに驚きます。
そして、歩くような低速でもエンストの兆候すら見せずびっくりするほど粘るんです。
4バルブとは思えない乗りやすさは5速で40km/hから無理なく加速するではないですか。
アクセルのレスポンスも抜群で右手の動きにダイレクトに反応し、いかにもシングルらしいトルクに乗
った素早い加速は快感です。
特に60km/hで3000rpm、80km/hで4000rpm、この間を使ったライディングの
楽しさは、まさに速さより心地よさでNWJCツーリングマスターらしい乗り味です。
さらにアクセルを開けて行くと4バルブだと言わんばかりにタコメーター右端まで一気にふけあがる気
持ちよさはSR400含め他に乗った400ccクラスシングルエンジンには無かったもの。
正直、SRでは頭打ちが早く高回転は苦手で常に低中速のトルクの良いところで走らねばならず、シン
グルらしさを伴って全域で速いCB400SS―TMの動力性能の高さには驚いてばかりです。
前後のサスペンションも引き締められ、ブレーキングの際にフロントフォークは少し沈み込んで安定し、
コーナリングのきっかけをとてもつかみやすく、荒れた路面でも跳ねることもなくしなやかにフロント
を安定させるところは素晴らしく、スチールリムなのにSRと同じ35φのインナーチューブとは思え
ない剛性を感じさせ、ブレーキもとてもよく効きコンロトール性も抜群。
リアサスペンションはノーマルのままでこれから変更とのことでしたが、メッツラータイヤとの相性も
よくて、コーナリング中の沈み込みは一定でリアタイヤのトラクションがハッキリと伝わって気持ちよ
い走りを感じさせてくれます。
お気に入りの試乗ルートで、5速ホールド、右手の動きだけで右へ左へヒラヒラとワインディングを走
ることの気持ちよさと言ったら最高!
しかし、発売当時は全く気にも留めなかったバイクが、お財布が許せばすぐにでも欲しいと思えるバイ
クだったというのは衝撃です。
メーカー出荷のままではこうはなりません。当然ここまで仕上がっていて初めてそう思うのです。
SRカスタム屋でありがちな、ボルトオンパーツでマフラーを変えたわけではなく、ボアアップをした
わけでもなく、キャブを変えたわけでもない。
高田さん独自のノウハウと拘りのメンテナンスとモディファイに、改めて素晴らしいと思いました。
愛車のカブ110NWJCコンプリートやCB250TM、NWJC2014仕様空冷スクランブラー
にも共通する、速さより心地よさで、奥の深い走りの楽しさを感じます。
[ 新しいものが良いわけではない ]
CB400SSが早々に市場から消えたのは、
こんなに良いバイクになることを、僕を含めNWJCさん以外のバイク屋で手にしたお客さんは知らな
かったから、と思うのです。
実際にバイクを見てみると、今のバイクではありえないほど、ちゃんと作られているのです。
エンジンの鋳造の美しさ、材質、細かいパーツの造りの良さ、組み立ての丁寧さ、ボルト一本に至るま
で本当によくできていて、現在売っているGB350とは雲泥の差があります。
現代はメーカーが培ってきた技術を全てコストダウンに使うのが大命題ですから仕方ないのでしょうが、
趣味性の高いバイクにおいてここまでやるか、と思うほど見れば見るほどガッカリするのが現状で「な
んじゃぁこりゃ〜」と思うのは僕だけでしょうか。
しかも日本のことなど一切考えないグローバルスタンダードといわれる新車が呆れるほど多く、いかに
安く作って多く売って利益を上げるか、という業界の体質は、以前お話ししたユーザー不在のHY戦争
から何ら変わっていません。
「決して新しければ良いわけではない!」という高田さんの言葉にはホントに納得です。
メディアを使ってSRの後釜はGB350、という売り込み方が目立ちますが、並べれば一目瞭然で正
直SRに勝る部分などないのが現実です。
本来比較すべきGB400/500、CL400、CB400SSとの品質の落差は大きく、日本でG
Bという名前を上手く使っていかにもホンダのシングルだというイメージだけで売ろうとしていますが、
ホントはインドでCB350と言っているようにインド国内向けのバイクなのです。
ヤマハのSRやセローのように長年造り続けることがなく、「ホンダシングルはこうだ」という一貫し
たモノづくりをしてこなかったのでこういうやり方はお手の物なのでしょう。
余談ですけど、先日、行われた「2021世界耐久選手権 第3戦ボルドール24時間世界耐久レース
の結果を見て愕然としました。
優勝のヨシムラスズキはホントに良かったなと思うのですが、
リザルドをよく見てみると、エントリー全41台中台のうちヤマハが17台、スズキが8台、カワサキ
8台、BMW3台、Ducati1台、Mattis1台、そしてホンダはわずか3台だけ。
しかも完走した20台のうち、ヤマハ8台(内2位)、スズキ5台(内1位)、カワサキ4台(内3位)
、BMW1台、Metiss1台、そしてホンダは1台(4位)のみだったのです。
昔は「無敵艦隊」なんて言われた常勝の時代があり活躍にワクワクしたのですが、今は他メーカーにと
って代わられ、ホンダ車でのエントリー自体も激減ではないですか。
なぜこうなったのでしょうか。幼いころからホンダファンとして育った僕にとってこれは受け入れがた
いほど残念で仕方ありません。
何かが変わりはじめていると思うのは僕だけなのでしょうか
※興味のおありの方は、
「2021 FIM 世界耐久選手権 第3戦ボルドール24時間耐久ロードレース 結果」
を検索してご覧ください。
[ 大切なのはバイクを価値ある道具として完成させること ]
メーカーから出荷された新車の状態がベストではなく、乗り始めてから出来上がっていく、作りあげて
いく、ベテランライダーならお分かりの通りですよね。
「メーカーとメディアによって創られたイメージを利用して多くのバイクショップは売るまでで仕事完了、
とするところが大半。でもユーザーの皆さんは購入してからが始まりとなる」
また、「バイクはバイク屋自らの実体験により深化と熟成させることが必要で、素敵なバイクライフのた
めには、良き相棒あるいは価値ある道具として自信を持って提案できることが問われている」
と高田さんはいつも言われています。
CB400SS―TMの試乗でもまさにその通りだと実感しました。
バイク屋として、普段からいつもバイクに乗って触れていないと絶対にできないこと解からないことです
し、チョイ乗りぐらいでは何もできないし理解もできないのではないでしょうか。
今回のCB400SS―TMの試乗を通じてバイク屋として何が求められているのか、とても大切なこと
を実感することができました。
冒頭書きましたが、キャンプツーリングの模様はまた後日改めてお話しします。お楽しみに。
※NWJCの高田さんがキャンプツーリングの模様をアップされています。ぜひご覧ください。
★NWJC高田さんの記事はこちら!★
↓文字をクリックです。
★バイク屋の備忘録 :「 バイク屋のバイクライフ2021−10月 」
[ 余談ですが・・・・・。 ]
CB400SS―TMの試乗を終えて帰ろうとNWJC2014仕様スクランブラーでスタートして曲が
ろうとした瞬間、まさかの転倒!!
恥ずかしいやら情けないやら、実は右に傾いた際に、右足を出そうとしてペダルに引っかかって足が出な
かったのです。
「何十年もこんなコケかたせえへんかったのに・・・・・。じじいになってもうたなぁ〜」
悲しくてやりきれない気持ちでいっぱいになりました。
しかも大切なバイクが・・・・・と思ってみてみると、NWJCさんのオリジナル、空冷スクランブラー
用エンジンガードを装着していたので、なんとエキパイは無傷!!!!
空冷スクランブラーは右に転倒すると必ずエキパイが凹んだり傷つきますし状況によってはクランクケー
スカバーも割れたり傷ついたりしますが、どちらも無傷!!
高田さんの目の前でやってしまい「老化や老化!!」と笑いながら、NWJCオリジナルのエンジンガー
ドはエキパイだけでなくハンドルのダメージも軽減することも教えてもらい、跨ってハンドル握ると幸い
ダメージはありませんでした。このキャンプ道具を満載した状態でも・・・すごいです!
これは実際に乗って企画しているからこそ作れる機能パーツですよね。コンパクトで、カッコよくて、プ
ロテクションをよく考え作りこまれたエンジンガードに心のダメージも軽減してもらいました。
体はおかげさまで無傷でした。同年代から上のみなさんも、アッと思った時に体が動かないことがありま
すのでお気を付けくださいね。
次回お楽しみに
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